突然ですが、「不幸の手紙」って覚えていますか?
ある日ポストに届いた一通の手紙。
「この手紙を今日中に5人に送らないと、不幸が訪れる……」
というような、いわゆるチェーンレターです。
子どもの頃、一度は目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
紙からメール、そして今ではSNSと、時代が変わってもなお似たような“仕掛け”があちこちに潜んでいます。
不安をあおって、人は動く?
こんなご質問をいただきました。
「これを手に入れなければ損をする、残念な未来が訪れる…
といった“あおり型”の文章をブログで書くように勧められたのですが、
それってどうなんでしょうか?」
これは、コピーライティングのテクニックとしては「あるある」です。
「行動させるには、不安を刺激せよ」とよく言われます。
確かに、健康診断や保険商品の広告などでは、
注意喚起の意味で、ある程度有効な場合もあると思いますし
でも、私は個人的に、そのやり方がどうしても好きになれません。
だって、私が届けたいのは「不安」ではなくて、「希望」や「楽しさ」だから。
誰かの背中を押す言葉は、ポジティブであっていい
自分の文章で誰かの心を動かしたい。
そう思っている方は多いはずです。
そして、つながりたい相手には「こうなれたら素敵」という未来を感じてもらいたい。
少なくとも、私はそういう気持ちで日々文章を綴っています。
「不幸の手紙」のように、恐れを使って行動させることはできるかもしれません。
でも、それって果たして“心がつながる”コミュニケーションなのでしょうか?
あなた自身が届けたいのは、どんな世界ですか?
あなたの言葉を読んだ人に、どんな気持ちになってもらいたいですか?
どんな言葉を選ぶかは、自分の信念で決めていい
たとえ「この書き方が効果的ですよ」と誰かに言われたとしても、
その表現が自分の信念に反するのなら、無理に使う必要はありません。
「伝える」ことは、相手を動かす以前に、まず自分との対話でもあります。
・自分はどう在りたいのか
・誰と、どんな関係を築きたいのか
・どんな未来を一緒に目指したいのか
それが明確になればなるほど、言葉は自然と選ばれていきます。
同じ意味でも、伝え方で印象はまったく変わる
たとえば、こんな言い回しがあります。
✓「ブログを書かないと、お客様に出会えませんよ」
✓「ブログを書いたら、会いたいお客様に出会えますよ」
意味は同じなのに、前者には“焦り”や“義務感”が含まれ、後者からは“希望”や“可能性”を感じませんか?
言葉の力は偉大です。
だからこそ、その力をどう使うかは、書き手の責任でもあり、醍醐味でもあります。
私は、自分の言葉で誰かに勇気を届けたい。
読んでくれた人が、「なんだかちょっと元気になった」と思えるような文章を書きたい。
そのために、これからも“明るい未来”を描く言葉を大切にしていきたいと思っています。
自分の気持ちに素直でいることが、伝わる言葉の原点
「どう書けば人が動くか?」というテクニックや理論ももちろん大切です。
でも、それ以前に必要なのは「どんな思いで届けるのか?」という書き手のマインドです。
不安をあおらずに人の心を動かすことは、きっとできます。
それは、あなた自身の「こう在りたい」という願いと、読む人の未来を信じる気持ちから生まれます。
言葉は、伝える道具であり、橋でもあり、未来を創る力を持っています。