仕事柄、半年ごとに地元の新聞購読数の資料を手にするのですが、
目を通すたびに、新聞を購読している家庭の数はどんどん減っています。
今はネットニュースで事足りてしまうので、仕方ないのかもしれませんが、
昔から新聞が大好きな私としては、とっても寂しいです。
モノには必ずストーリーがある
先日、そんな新聞に、仕事の発信をするうえで、
「とっても大切なことが詰まっている!」と思ったコラムがありました。
それは「震災遺産」という企画展を開催された、
ある博物館の学芸員さんの紹介でした。
「モノだけ伝えるのではなく、その背景にある物語を伝えなくてはいけない」
という信条のもと、その企画展でも「人の営みの見える展示」を
心がけられたそうです。
例えば、古びたヤカンの解説は、
「配達員のため温かいお茶を用意していたのに、
急な全町避難で使われず、何年も放置されていたヤカン」。
また、津波に流され、部品だけが残されたパトカーの収蔵品の説明では、
子どもたちにこう語りかけられるそうです。
「住人たちがすぐ逃げていれば、このお巡りさんは危険な場所で
避難を呼びかけ続けなくてもよかった。みんなならどうする?」
「私に必要なものだ!」と伝えるために
古びたヤカンを置いているだけなら、それほど興味は引けないけれど、
ストーリーを加えると、目にした人は無意識のうちに自分の生活と
オーバーラップさせ、心が震えます。
壊れたパトカーの一部を展示しているだけだと「警察官の方、かわいそうに」と、
他人事で済まされてしまいそうなことも、背景を伝えることで後世への教訓や、
誰かの生き方を変えるきっかけにまでなったりします。
モノだけを一生懸命伝えても、人の心には響きません。
そのモノが持つ物語を届けて初めて、人は自分ごととしてとらえることができ、
次の行動に移そうとしてくれるのです。
仕事の発信も一緒です。
文章の書き方を伝えて「上手に書けるよ」「早く書けるよ」って
モノを訴えるだけでは、きっとあなたも読み流しますよね。
文章の書き方を身につければ、届けたい人にきちんと届く、
出会いたい人にしっかり出会えるというストーリーを届けてこそ、
文章の持つ力や楽しさを、自分に必要なものとして
受け取ることができると思うのです。
あなたも、あなたの商品やサービスの持つストーリーを、
ぜひ文章にして伝えてくださいね。