「考えていることを言葉にすると、ごく普通のありきたりな文章になり
ペラペラになってしまう気がします。どうにかしたいんです」
ある日そんなご相談をお受けしました。
結論から言えば「自分の言葉を持とう」!
それは、難しい言葉や、賢そうな表現を探すことではありません。
毎日の暮らしの中で感じている、自分のいろいろな気持ちに敏感になり、丁寧にすくいとっていくことです。
語彙力を高めるのは、毎日の丁寧な暮らし
「やばい」
「まずい」
「すごい」
そんな3語だけで、生きていたりしませんか?
この3語だけでも、とりあえずコミュニケーションは図れます。
生きてはいけると思いますが、仕事で発信したい人は残念ながら伝えたいことが相手に届いてはいませんね。
これを「語彙(ごい)力がない」というのですけれど、最近、「言葉で表現する」「伝える」という作業を
“面倒くさがる”人が増えた気がします。
そして、その面倒くさがっている行動を「苦手」という便利な言葉で
片付けてしまっている気がしてならないのです。
違うんです!
苦手なのではなくて、単に面倒くさがっているだけなのです。
どうすれば、その面倒くさいことを面倒くさいと思わずに、サクサク行動ができてるのか。
伝えたいことが相手に届くのか。誰からも教わってはいませんよね。
語彙力とは、簡単に言うと知っている言葉のことです。
そして、日々書いたり話したりするとき、自分が使える言葉のことでもあります。
この数が少ないと、何を見ても何を感じても「やばい」って一言で終わってしまうわけです。
じゃあ、「辞書を毎日読む」とか「誰かに習いに行く」とかすれば解消できるかというと、そうでもありません。
✓ どうすれば言葉のストックが増えるのか
✓ 今日からできる対策ってないのか
考えてみました。
言葉は、気持ちで考えよう
ある日のこと。帰宅途中に見た夕空が、濃いオレンジ一色に染まっていました。
「うわー、きれい!」
と思わず口を突いて出た言葉でしたが、この一言で終わらせないように考えることが、「語彙力を高める」ということです。
一般的に使われやすいのが「空が燃えるような夕焼け」といった表現ですね。
でも、こうした「頭で考えた言葉」とか「頭で憶えている表現」は、
いくらかっこよくてもやっぱり「ありきたり」。
「うちの子が、生まれて初めて手にしたオレンジ色のクレヨンで、
描いたときの空の色になってた!」っていうほうが、なんだか気になりますね。
それはきっと、心で感じたり、心が動かされたり……気持ちで考えた言葉だから。
それこそ、唯一無二の言葉です。
誰にも真似のできない、あなただけの「オレンジ色の夕空」であり、あなただけの言葉になったのです。
ありきたりな言葉から抜け出すポイントは、自分の体験や経験を大切にあたためることです。
その時、どんな気持ちでいたのか。何を感じていたのか。どんな思い出が宿っているのか。
どうぞ、日々、あなたの気持ちに敏感に暮らしてください。
心で感じる繊細さこそが、あなただけの言葉を生んでくれます。
……めんどくさいけどね。
そこをぐっとこらえて、自分の気持ちを確かめながら
毎日を丁寧に暮らしていただきたいと思っています。