「『何をしている人かわからない』って言われるんです。
できることが増え過ぎちゃったのかな……」
起業女性の支援をしていると、よくそんなご相談をいただきます。
共感された方も多いんじゃないでしょうか。
「何をしている人かわからない」
そんな言葉を投げかけられる理由は
単に、自分の仕事を紹介するのが上手じゃないとか
商品やサービスを紹介する言語化ができていない
という単純なことではありません。
そこには、もっと深い背景があり、気が付かないまま
ほったらかしにしておくには、
あまりにもったいない
あなたの宝物が眠っているのです。
できることが多いほど、たくさんのお客様に出会えると信じていた
私が今の事務所を立ち上げ、地域情報紙の企画・制作・発行を
スタートさせたのは2008年のこと。
名刺やチラシ、リーフレットなどの印刷物をはじめ、
ホームページも制作できるなどなど……
あれもできる、これも受けられるって、とにかく一生懸命アピールしてました。
間口が狭いとお客様を取りこぼす!
できることをたくさん出してるほうが、たくさんお客様に出会えそう!
と信じていましたから。
さらに、商品として勧めていただいたのがSNSやブログ。
中でもブログは、仕事で使うコツのとっかかりを教わったことで
私の中のスイッチがオンに。
色々な情報を調べまくり、自分でも成果を生むための
実証実験(?)を繰り返していきました。
それを知ったお客様が「モニターになるから使い方を教えて!」
と声をかけてくださり、ブログ講座が人気を博し始めると
他のSNSも教えてほしいと声がかかり始め、 少しずつ扱う内容が拡がっていきました。
こうして求められるまま、いろんな道具を揃えた私は、
次の新しいフィールド「起業女性支援」へ一歩を踏み出します。
すると「セミナーで講師をしてほしい」という依頼も入るようになりました。
ますます「あれもできるよ、これも大丈夫よ」
って声を大きくしていったのですが…。
予期せぬ出来事に、衝撃を受けることになったのです。
お客様のイベントにご挨拶に伺った時のこと。
驚くべき言葉をかけられました。
「ウチハシさんって、なんて紹介すればいいかわからない人だよね」
この時初めて、私が何者なのかを理解してもらえていないこと
ブランディングができていなかったことに気が付いたのです。
何でもできる人だったけど、実は何を頼めばいいのかわからない人、
いわゆる、私は「器用貧乏」だったのです。
そこで真剣に自分のことを考え始めます。
本当にやりたかったことって?
私がお役に立てることとは?
……文章を書くことやん♪
「文章」というツールを通して、起業女性のブランディング支援に取り組もう。
拡げて拡げて、いっぱい得意なことを手に入れた先で、
ようやくしぼるべきものが自覚できました。
すると
「文章のことなら、とにかくウチハシさんにと思って」
「ブログをどうしようと思った時に、そうだ、ウチハシさんがいるやん!
って思い出して声をかけたの~」
というように「私って何者なのか」という問いかけの答え合わせのように
文章の人・ブログの人として浸透していきました。
「できることの入口」を、拡げ続けていたころは
手を付けるのが怖くて仕方がなかった絞り込み。
えいやっと思い切ってみたら、……え?
想像もしてなかったことが起こりました。
絞ったはずなのに、さらに拡がっていくではないですか!
でも今度は拡がり方が違いました。
かつてはバラバラに拡がっていた仕事のフィールドが、
今度は、起業女性向けの「ブログの文章」という「点」を中心に、
放射線状に拡大しているイメージです。
すべて「文章を書く」という切り口での仕事に
つながっていくようになったのです。
今にして思えば「いや、やっぱり器用貧でよかったのだ」と実感しています。
いろんなことを経験するから「これだ」というモノに出会えますし
経験の量が専門分野をより深め、とがらせてくれるからです。
*ターゲットをしぼる
*専門性をとがらせる
……の前に、一度やりたいこと、できることをとことん拡げて追いかけてみる。
いろんなニーズを検証し、どれが向いているのか、
どの方向に向かうべきか確かめる。
遠回りのように見えて、実は案外、近道なのかもしれません。
起業サポートに携わっていると、いろんなことが
器用にできてしまう女性に出会います。
ターゲットがいろいろ、提供したいメニューも様々、
どうしてもしぼれない……
そんな時は全部やっちゃいましょう♪
いろいろできてしまうことも、あなたの強みに間違いありません。
「メニューが増えて、ブレてるよねって言われるんです」
と
相談されることもありますが、お話を聴いていると、
気持ちの奥にあるもの
~役に立ちたい分野、自分を活かせる想いは一つです。
ただ、目に見える方法が違っているだけ。
要は、たくさんの道具(方法やメニュー)を持つことがダメなのではなく、
まず最初に使ってほしい道具を、ちゃんと決めていないことが
いけないだけなのです。
道具はたくさん持っていていい♪
拡げてもいい、いろいろやってもいい。
ただし、自分の「これが専門」というものを、しっかり自分で決めること。
たくさん持っている道具の中で、どの道具のファンをいちばん先に育てたいのか。
それを求めている人が訪れるための入口を、ひとつだけに絞っておくこと。
これが一番大切なんですね。
道具はバラバラでも、あなたの想いはきっとひとつです。
その想いを言葉で表現して、つながりたいお客様とのご縁を
大切に育んでくださいね。