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バラードを歌うように文章を紡ぎたい

2025/02/23

母とフクヤマとある日の夕暮れと

バラードを歌うように文章を紡ぎたい


「あ、この車は……」


ある日の夕暮れ。




仕事を終え、車を自宅へ走らせている途中、


赤信号で、母が通っていたデイサービスの送迎車の後につきました。



ほんの一瞬の出来事でしたが、わずかな時間に

様々な想いがよぎりました。





デイサービスとは、「通所介護」のこと。

宿泊をせず、自宅から日帰りで通う介護保険サービスのひとつです。




お昼ご飯をいただいて、お風呂に入れていただき、


レクリエーションなどで楽しい時間を提供していただける施設。




日本の唱歌や童謡が好きだった母は、体調のいい日は、


CDに合わせ楽しそうに歌っていたそうです。




朝8時40分、デイサービスのスタッフの方に


自宅まで迎えに来ていただき、送迎車に乗せていただいて出発。




機嫌よく朝の挨拶からスタートする日もあれば、「行きたくない!」と


騒ぐ日もあり、さながら保育園に通っていた当時の息子のようでした。




「今日も一日、機嫌よく過ごせますようにって、毎朝、送迎車を見送ったよなあ」




目の前に灯るテールランプを眺めるうちに、いろいろなことが思い出され、


懐かしさなのか、切なさなのか、寂しさなのか、後悔なのか。


鼻の奥がツーンとして、慌ててしまいました。




ちょうどその時、私の車内にはフクヤマ(福山雅治)のバラード曲が……。



変わりゆく季節に尋ねても、君を想い出にはできなくて……


君を忘れることできなくて……


(福山雅治「そのままで…」1995年/作詞:福山雅治) 


別れた恋人への想いを綴った歌。


でも、したためられたフレーズは、目の前を走る送迎車に引き出された母の面影と重なり、


空へ帰っていった母への想いそのもの。




切なく緩やかなメロディ、やさしい歌声、


そして黄昏はじめた空の寂しさも相まって、母を想う歌になっていきました。




歌や音楽とは、聴き手が受取るタイミングや環境、状況によって、


そのストーリーや世界観が変わってゆきます。




創る側の手を離れた瞬間から、受け取った人の数だけ新たなストーリーが生まれ、


育てられてゆくものなのだと実感したできごとでした。




……と書いてみて、文章にも、きっとそんな力があるはずだと思ったのです。




受取ってくれた一人ひとりが、それぞれのストーリーとして育んでくれることを願い、


強くやさしく、温かな文章を紡いでゆきたい。




誰かからそっと贈られた思いやりを、胸の奥でゆっくり温めたくなる喜びに。


身も心も疲れ切り、大切な人にやさしくできない切なさに。


愛した人のしあわせを、遠くから祈ることしかできない悲しみに。




静かに寄り添い包み込む、彼のバラードのように。

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