これまでの人生で出会ってきた本の思い出を
気ままに綴っています「本棚ブログ」。
今日は学生時代の思い出の本を振り返ります。
本は、その存在そのものがストーリー
あまりに有名な推理小説作家、アガサ・クリスティー。
たくさんの作品が映画にもなり推理小説が好きでなくても
彼女のことを知らない人はいないのではないでしょうか。
アガサクリスティ―といえば、もっとも有名な作品は
名探偵エルキュール・ポワロシリーズ。
好きな方はとってもはまる、知る人ぞ知る、
おばあちゃん探偵ミス・マープルシリーズ
そして、ここまでくるときっとアガサマニアなのが
トミーとタペンスという若いカップルが活躍するシリーズ。
この一冊は、トミーとタペンス夫婦がデビューした事件です。
著者:アガサ・クリスティー
早川書房・クリスティー文庫
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今はすっかり装丁が変わっていますが、私が読み漁っていた当時は
アガサのシリーズは全部こんな装丁でした。
ふたりでアガサ・クリスティ―を読破しよう!
大学生の頃、同じく大のミステリー好きだった友だちと
お互いが買っていないタイトルの文庫本を買っては交換し
全シリーズを読み切りました。
今ではストーリーを忘れてしまったものもありますが、楽しい時間でした。
当時は、今のようにワンルームマンションに入る学生は少なかった時代。
大学が提携している下宿先に住むのが当たり前でした。
ワンフロアに6つの部屋があるハイツに暮らし、
キッチンやお風呂、トイレ、赤電話(!)は共同使用。
一緒に料理をしたり、掃除当番の順番表を作ったり、
時には夜中にやってきた空き巣をみんなで追い出して、
警察を呼んで大騒ぎになったりと、まあいろんな楽しい思い出だらけです。
現在の学生さんのようにスマートな暮らしぶりではありませんでしたが
助け合ったり、ケンカしたり、心配し合って大泣きしたり
コミュニケーションは濃かった!
半分身内みたいな仲間になって、社会勉強にもなった4年間でした。
一緒に読破に挑戦した彼女も双子の女の子のママになり、もう数十年会えていませんが
アガサ・クリスティーの文庫本や映画に触れるたび、
恋バナで一晩中もりあがったこと、定期試験前にじたばたしたこと
バイト先の悩みを相談し合ったこと、就職活動でへこんで励まし合ったこと
いろんなことが一気にあふれ出し、気分はすっかり大学生に戻れるのです。
顔を見て、言葉を探し、相手を想う
表紙を見るたび、ページをめくるたびに
手にした時の自分の心模様や暮らしぶり、
どんなことを考え、どんな人と出会い
どんな風に日々を過ごしていたのかまで浮かび上がります。
お金はなかったけれど、友だちにだけは恵まれた学生時代。
今のようなスマホもコンビニもなくて、便利とはいえない時代だったけれど
その代わり、大切な時間をたくさん共有できました。
人と人がお互いにちゃんと向き合う。
気持ちを伝える言葉を探して、一生懸命に相手を想う。
そんなことが、当たり前にできた時代だった気がします。